但馬宗務総長の指名挨拶(宗会・臨時会)
2016年12月の臨時会(宗会)にて、但馬弘議員が宗務総長に指名されました。
臨時会において、新宗務総長の挨拶がありました。
宗務総長指名挨拶(宗会)2016/12/16
この度、宗務総長の指名をいただきました但馬でございます。
宗祖親鸞聖人七五〇回御遠忌の特別記念事業として、足かけ13年の歳月に及びました真宗本廟両堂等御修復事業が、全国の門徒同朋の深きご懇念によりまして恙なく円成したことを受け、「これを節目として、2023年にお迎えする宗祖親鸞聖人御誕生八五〇年・立教開宗八〇〇年慶讃法要に向けて、人心を一新して宗門の新たな展望を開くべき」との里雄宗務総長の固いご意志を継承し、この度、宗務総長の任に就かせていただくこととなりました。正直に申しまして、今はただ、たまわった役目の重責に身の震える思いであります。
さて、現代という、人が真に人として生きることがますます困難となる時代に存在する真宗大谷派なる我が宗門の現況は、様々な面において危急存亡の色を深めているように思えてなりません。急速に進行する寺離れ、宗教離れという現象は、単に一般市民社会のみならず、宗門にご縁を結んでいる門徒同朋にも顕著に表れ、我が宗門の教勢は下降線を辿っていると言わざるを得ません。
しかし、このような危機的状況は、けっして外的な要因に依ってのみもたらされたものではありません。果たして私たち宗門人は、門徒同朋の心の奥深くに秘められた宗教に対する根源的な欲求、お寺に託された切実な願いに真向かうことをして来たのでしょうか。私たち宗門人すべてが、現在の危機的状況を自らの課題として受け止めることなくしては、今の世に「真宗ここにあり」との宗門のあるべき姿を回復することはけっしてあり得ないと思うのであります。
私どもは里雄内局の発足以来、里雄宗務総長が掲げられた「一人の人、一つの寺を大切にする宗門」という精神を基底として、「人の誕生と場の創造」を図るべく歩みを進めてまいりました。
人の誕生とは申すまでもなく、本願念仏の信に死して、如来の願心にもよおされて生きんとする一人の誕生であります。「ただ念仏して、弥陀にたすけられまいらすべしと、よきひとのおおせをかぶりて、信ずるほかに別の子細なき」一人の誕生であります。そしてその一人の誕生は、報恩としての自信教人信の誠を尽くさんと生きる一人の誕生であります。
如来の願心にもよおされて生きんとする人の生き方に触れる時、不可思議にも私どももまた本願念仏の一道に立たんというご縁をいただくのでありましょう。
「前に生まれん者は後を導き、後に生まれん者は前を訪え、連続無窮にして、願わくは休止せざらしめんと欲す」と『教行信証』の末尾を締めくくられた宗祖聖人の立教開宗のご精神は、本願念仏の信に立たんとする人の共同体、すなわち念仏の僧伽を希求するご精神であり、それこそが真宗大谷派なる精神であると受け止めるものであります。
混迷を深める現代という社会に存在し、危急存亡の秋を迎えつつある宗門であるからこそ、あらためて「一人の人、一つの寺を大切にする宗門」、すなわち念仏の僧伽の再興が私たちに求められているのであります。
私はあらゆる施策が、この念仏の僧伽の再興に繋がる施策として実施されるよう宗務に取り組んでまいりたいと思います。そして、宗門にご縁を結んでくださるお一人お一人がみな、念仏の僧伽たる宗門のために何ができるかをお考えいただき、それぞれの場でその歩みに参画いただくことを心より念願するものであります。
もとより浅学非才の身でございますが、これまで宗門各位よりたまわってまいりましたお育ての一端にもお応えする覚悟で宗務に取り組んでまいりたいと思い定めております。この上は、議員各位におかれましても、宗門の危機的状況についての認識と僧伽再興への願いを共有していただきますとともに、これまで以上のご指導・ご鞭撻をお願い申し上げ、就任に当たってのご挨拶といたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。
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